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Marketing

カスタマージャーニーの考え方|BtoB・BtoCの違いと実例

2025/12/31

カスタマージャーニーの考え方|BtoB・BtoCの違いと実例
目次

マーケティング施策に取り組んでいるが、顧客がなぜ次に進まないのか、どこで判断を止めているのかが見えない。

この状態で共通しているのは、施策そのものではなく「施策同士のつながり」が設計されていないという点です。

多くの場合、その原因は カスタマージャーニーが設計されていない、もしくは形骸化していること にあります。


カスタマージャーニーとは、単なる図や資料ではありません。

顧客が課題を認識し、情報を集め、比較・納得し、最終的に意思決定に至るまでの“思考と行動のプロセスそのもの”です。

今回はこれらを事業全体の視点から整理します。

  • カスタマージャーニーの本質
  • BtoBとBtoCにおける構造的な違い
  • 実務で使える設計手順と具体例

カスタマージャーニーは何のために必要なのか

施策を“正しく失敗させる”ために必要

カスタマージャーニーの最大の役割は、マーケティングや営業施策を、正しい前提で評価・改善できる状態をつくることです。

ジャーニーがない組織では、次のようなことが頻発します。

  • 広告のCPAが悪い → 広告が悪いと判断する
  • CVRが低い → LPを改善しようとする
  • 商談化しない → 営業の問題だと考える


しかし実際には、“前段階の詰まり”が原因であるケースがほとんどです。

  • 顧客の課題認識が浅い
  • 比較フェーズの情報が不足している
  • 意思決定を後押しする材料が欠けている

カスタマージャーニーは、「どこで失敗しているのか」「なぜ次に進まないのか」を構造的に特定するための設計図です。

カスタマージャーニーとは何か

カスタマージャーニーの本質は「意思決定の流れ」

カスタマージャーニーは、「顧客がどのような感情・思考を経て、最終的な選択に至るか」を可視化するフレームです。

多くのユーザーは以下のような流れをたどります。

  • 課題に気づく
  • 情報を集める
  • 選択肢を比較する
  • 自分に合うと納得する
  • 行動(購入・問い合わせ)する
  • 継続・紹介する


ここで重要なのは、この順序や滞在時間は、企業側がコントロールできないという点です。

企業ができるのは、「その段階にいる顧客に対して、適切な情報と体験を用意すること」だけです。

また、ジャニーにおいて重要なのは、順番そのものではありません。

ジャーニー設計とは、顧客の意思決定を操作することではなく、意思決定を“前に進める環境”を整えることと言えます。


重要なのは思考の中身です。

  • 各段階で「何が分からないのか」
  • どんな不安が意思決定を止めているのか
  • 次に進むための“判断材料”は何か

よくある誤解:「ジャーニー = タッチポイント一覧」

実務で非常によく見られる誤りが、「広告 → LP → 問い合わせ → 商談」といった接点の整理で終わっているケースです。

これは“企業の行動フロー”であり、顧客の意思決定プロセスではありません。

実際の顧客の頭の中では、その間に次のような思考が発生しています。

  • 本当に自分の課題なのか
  • 他にもっと良い選択肢はないか
  • 失敗したらどうなるのか
  • なぜこの会社を選ぶ必要があるのか


ジャーニー設計で見るべきなのは、心理の変化と判断基準です。

  • その時、顧客は何を不安に感じているか
  • 何が分からずに止まっているか
  • 何が分かれば次に進めるのか

「どこを改善すべきか」「どの施策を優先すべきか」を判断できるように、行動ではなく意思決定を軸にする必要があります。

BtoBとBtoCにおけるカスタマージャーニーの違い

BtoC:意思決定は“感情の納得”で完了

BtoCでは、意思決定において以下の特徴があります。

  • 個人の感情・直感が強く影響する
  • 比較検討期間が短い
  • 価格・口コミ・使用イメージが重視される
  • 購入後の満足度が次の行動(再購入・紹介)に直結する

そのためBtoCのジャーニーでは、論理的な説明よりも 「なんとなく良さそう「失敗しなさそう」 という感覚が重要になります。

この結果、BtoCでは「共感 → 納得 → 安心」という感情の流れを意識した設計が不可欠です。

逆に、情報量が多すぎると「考えるのが面倒」「決めきれない」という理由で離脱が起こります。


BtoCジャーニーで重要なポイント

  • 共感できるか
  • 自分ごととして想像できるか
  • 失敗しないと感じられるか

NGな状態

  • 情報が多すぎる
  • 比較軸が複雑
  • 判断を顧客に委ねすぎる

BtoCのジャーニーは、考えさせない設計が正解になります。

BtoB:意思決定は“説明できた時点”で完了

BtoBでは、「自分が納得した」だけでは意思決定は完了しません。

このような視点が必ず入ります。

  • 上司に説明できるか
  • 稟議を通せるか
  • 失敗した時に責任を取れるか


このためBtoBでは、「説明可能性」がジャーニー設計の中核になります。

ジャーニーにおいて、顧客自身が“社内で説得する立場になる” という前提を忘れてはいけません。

  • 課題がどのように解決されるのか
  • 導入効果は定量的に説明できるか
  • リスクや失敗時の対応はどうなっているか
  • 社内で説明・合意が取れるか


BtoBジャーニーでNGなのは、このような状態です。

  • ベネフィットだけを語る
  • 導入後の話がない
  • リスクの説明が曖昧

BtoBでは、「この選択は合理的である」と説明できる状態をつくることがゴールになります。

BtoB・BtoCの比較表

項目

BtoC

BtoB

関与人数

基本1人

現場・上司・決裁者

重視される要素

共感・安心感・口コミ

効果・コスト・リスク

NGな状態

情報過多・比較軸が多い

説明材料が不足している

有効な情報

体験談・使用イメージ

事例・数値・導入プロセス

意思決定完了の条件

「失敗しなさそう」

「社内で説明できる」

ジャーニー設計のゴール

考えさせずに決断させる

説明できる状態を作る

カスタマージャーニー設計の基本ステップ

顧客の「最初のきっかけ」を定義する

まず必要なのは、顧客が動き出す起点の明確化です。

  • どんな状況で課題を感じるのか
  • その課題はどの言葉で認識されるのか
  • 緊急度は高いのか、低いのか

この「課題の言語化」がズレていると、どれだけ良い施策を打っても刺さりません。

特に注意すべきなのは、企業が使っている言葉と、顧客が使っている言葉が違うケースです。

フェーズごとの心理と障壁を書き出す

次に、意思決定の各フェーズごとに以下を整理します。

  • 顧客の疑問
  • 不安・懸念
  • 比較ポイント
  • 行動を止めている要因

ここで重要なのは、「企業が伝えたいこと」ではなく「顧客が次に進むために必要なこと」だけを書くことです。

この整理が甘いと、説明はしているが刺さらない・情報はあるが行動されないという状態に陥ります。

情報と施策をジャーニーに紐づける

最後に、各フェーズに対して以下を整理します。

  • どんな情報が必要か
  • どのチャネルが適切か
  • 次の行動を促すために何が必要か


この段階で多くの企業は、「今やっている施策が、どのフェーズにも明確に紐づいていない」という事実に気づきます。

ジャーニーは、施策の棚卸しと優先順位付けのためのフレームでもあります。

ポイントは「意思決定の完了条件」を決めること

正しいカスタマージャーニーでは、各フェーズに必ず次の3点を定義します。

  1. 顧客が判断するための問い
  2. その問いに対する答え
  3. 次に進める“納得条件”

これが定義されていないジャーニーは、施策設計にも改善にも使えません。


機能しないジャーニーの問題は、「このジャーニーを満たせば意思決定が完了する」という定義がないことです。

つまり「この状態になったら次に進む」という基準が曖昧であるケースが多いです。

実例で見るカスタマージャーニー設計

BtoCの例:D2Cプロダクト

課題認識

自分に合っているか分からない、失敗したくないという不安

情報収集 「自分に合っているか分からない」

  • SNSの体験談
  • 使用シーンの具体的イメージ
  • 口コミ・レビュー

比較検討 「他と何が違うのか」

  • 価格
  • 他商品との違い
  • 自分に合う理由

意思決定 「失敗しないか」

  • 「これなら大丈夫そう」という安心感

BtoCでは、論理よりも 自分ごととして想像できるかどうか が決定打になります。

BtoBの例:業務SaaS導入

課題認識

業務効率が悪いと感じているが、原因が特定できていない

情報収集 「他社はどうしているのか

  • 同業他社の成功・失敗事例
  • 課題整理の記事
  • 現状を客観視できるチェックリスト

比較検討 「なぜこのツールなのか

  • 導入効果(定量・定性)
  • コスト構造
  • サポート体制・導入後の運用負荷

意思決定 「社内で説明できるか

  • 社内説明資料として使える情報が揃っている
  • 導入後のリスクが低いと判断できる

この場合、「資料請求」自体がゴールではなく、社内稟議を通すための材料提供が本質です。

ジャーニーが機能しない原因

  • 一度作って更新されていない
  • 組織で共有されていない
  • 施策と連動していない
  • KPIと結びついていない

カスタマージャーニーは、施策を評価・改善するための“判断基準”として使われて初めて意味を持ちます。

さいごに

カスタマージャーニーは、「マーケティング施策を整えるための資料」ではありません。

それは、顧客視点で事業全体を設計するための思考フレームです。

  • なぜ顧客は次に進まないのか
  • どこで意思決定が止まっているのか
  • 今やるべき施策は何か

これらを感覚ではなく構造で判断するために必要です。


BtoB・BtoCを問わず成果が出ている企業ほど、顧客の意思決定プロセスを深く理解し、施策をジャーニーに沿って整理できており、組織全体でその前提を共有しています。

施策が増えるほど成果が見えづらくなっている場合こそ、一度立ち返って「顧客はどんな流れで、何を基準に選んでいるのか」を見直すことが重要です。

本記事が実務に活かすことのできるカスタマージャーニー設計の指針になれば幸いです。