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データドリブンマーケティングとは何か|指標ではなく判断を設計する考え方

2026/01/10

データドリブンマーケティングとは何か|指標ではなく判断を設計する考え方
目次

データドリブンマーケティングに取り組んでいる企業は増えています。

広告、CRM、プロダクト、営業など、各所でデータは取得され、ダッシュボードやレポートも整備されているにもかかわらず、意思決定が大きく変わらないという声は少なくありません。

多くの場合、問題は「データが足りないこと」ではなく、数字は見えているが、その数字を見て「何を変えるべきか」を判断できない状態にあります。


分析は、過去に何が起きたのかを理解するための行為です。

一方で判断は、その理解を踏まえて、これから何を選び、何を捨てるかを決める行為です。


データドリブンとは、分析を否定することではありません。

分析を「過去の解釈」として正しく位置づけ、その先にある未来の選択が再現可能な形で行われている状態を指します。

今回は、指標の細かな見方やツールの使い方ではなく、どのような流れでデータを意思決定に接続すべきかという観点から、データドリブンマーケティングの基礎を整理します。

データドリブンマーケティングとは何か

データドリブン = 分析主導という誤解

データドリブンという言葉は、「高度な分析を行うこと」と同義で使われることがあります。

しかし、レポートや分析が増えたにもかかわらず、意思決定が変わらないケースは珍しくありません。


この状態では、分析は行われていますが、データドリブンとは言えません。

分析結果が「説明」にとどまり、「選択」や「判断」に使われていないためです。

分析は意思決定のための重要なインプットですが、それ自体が目的ではありません。

データドリブンの本質は、分析を通じて何をやるか、何をやらないかが変わることにあります。

データドリブンの本質は「判断が再現されること」

データを使った意思決定が属人的になっている組織では、同じ数字を見ても結論がばらつきます。

一方で、データドリブンな状態とは、誰が見ても、どの数字を根拠に、同じ判断に近づける状態です。


重要なのは、正解を当てることではありません。

判断のプロセスが言語化され、共有され、再現されることです。

この再現性がなければ、意思決定は会議や担当者ごとに揺れ続け、改善は積み上がりません。

私たちが定義するデータドリブンマーケティング

私たちは、データドリブンマーケティングを次のように定義します。

データを「説明するため」に使うのではなく、意思決定を揃えるための共通言語として使うことです。


どの数字を見て、どの状態なら進め、どの状態なら止めるのか。

この判断基準が共有されている状態を、データドリブンと考えます。

なぜデータを見ても意思決定が変わらないのか

指標が多すぎて判断できない問題

多くの組織では、KPIや指標が増え続けています。

しかし、指標が多いほど判断がしやすくなるとは限りません。


どの数字が重要で、どの変化に反応すべきなのかが整理されていない場合、データは「見ているだけ」の存在になります。

これは、データ不足ではなく、判断設計の問題です。

指標と目的が接続されていない構造

意思決定が変わらない最大の原因は、指標が「目的」や「判断」と接続されていない点にあります。

数値が改善したかどうかは分かっても、その結果、何を続け、何を止めるべきかが定義されていない状態です。

この状態では、データは事後報告に使われるだけで、意思決定を前に進める材料にはなりません。

部門ごとにデータの意味が違っている

同じ数値を見ていても、部門ごとに解釈が異なるケースも多く見られます。

広告、CRM、営業、プロダクトが、それぞれ異なる目的と評価軸で数字を見ているためです。

この状態では、データが増えるほど、判断は分断されていきます。

データドリブンを機能させるためには、データの前に、判断の意味を揃えることが不可欠です。

データドリブンマーケティングに必要な指標の考え方

「見るべき指標」は目的によって決まる

データドリブンマーケティングにおいて、最初に決めるべきなのは「どの指標を見るか」ではありません。

何を判断したいのか、どの意思決定を変えたいのかを明確にすることです。

目的が定まらないまま指標を並べると、数値は増えても判断は増えません。


例えば、獲得を増やしたいのか、継続を安定させたいのか、単価を引き上げたいのかによって、見るべき指標は異なります。

「万能なKPI」は存在せず、指標は常に判断の目的に従って選ばれるべきものです。

成果指標・行動指標・判断指標の違い

多くの現場では、成果指標だけを見て判断しようとします。

売上、CV、LTVといった指標は重要ですが、それだけでは「なぜそうなったのか」を説明できません。


成果指標の手前には顧客の行動があり、そのさらに手前に判断があります。

行動指標は、閲覧、クリック、利用頻度、再訪といった形で、顧客が何をしたかを示します。

判断指標は、その行動が「なぜ選ばれたのか」を推測するための指標です。

「成果 → 行動 → 判断」の逆引きでなければ、データは意思決定に使えません。


■ 指標の種類と意思決定での役割

指標の種類

代表例

意思決定で分かること

成果指標

売上 / CV / LTV

結果がどうなったか

行動指標

再訪率 / 利用頻度

何が起きているか

判断指標

非割引購入率 / 機能定着率

なぜ選ばれたか


判断を支える指標に変換する視点

データドリブンで重要なのは、抽象的な判断を業務で扱える変数に翻訳することです。

指標は、それ自体に意味があるのではなく、「どの問いに答えるための数値か」が定義されて初めて、判断に使えるようになります。


■ 判断と指標を結びつける翻訳例

判断したいこと

問い(意思決定のための問い)

可視化する指標

価格で選ばれているか

我々は「安さ」以外で選ばれているか

非プロモーション時の購買率 / 値引きなし購入比率

価値が伝わっているか

提供価値は判断基準になっているか

特定機能の継続利用率 / ブランド指名検索数

興味が維持されているか

関心は継続しているか

再訪率 / 滞在時間

検討が前進しているか

判断は次の段階へ進んでいるか

次アクション到達率


このように問いと指標をセットで設計できて初めて、「判断が変わったかどうか」を検証できます。

判断を可視化できない指標は、分析には使えても、意思決定には使えません。

指標から意思決定までの基本フロー

データドリブンな意思決定の流れ

データドリブンな意思決定は、分析から始まりません。

最初に行うべきなのは、「どんな判断を変えたいのか」を定義することです。


判断基準を言語化し、それを測る指標を選び、行動を変え、その結果を検証するという順序で進みます。

この順序が逆になると、データは「見ただけ」で終わります。

データを見る前に決めるべきこと

データを見る前に決めるべきなのは、「この数値がどうなったら、何を変えるのか」です。

数値が悪化したら止めるのか、一定水準を超えたら拡大するのかといった判断を、事前に決めておく必要があります。


これは、If-Thenの形で判断のガードレールを設けることでもあります。

この設計がないまま数字を見ても、意思決定は後手に回り続けます。

データドリブンとは、数値を見ることではなく、判断条件を事前に決めておく(If-Then設計)ことです。

データを意思決定に接続する会議設計

多くの会議が数値の報告で終わってしまうのは、問いが設計されていないためです。

「この数値は何を示しているのか」ではなく、「この数値を見て、何を変えるのか」を問う必要があります。


会議の目的は、正しい分析を披露することではありません。

判断を揃え、次の行動を決めることです。

データドリブンな会議とは、結論が必ず「やる・やらない」に落ちる場を指します。


■ データドリブンな意思決定フロー

フェーズ

問い

主に見る指標

判断設計

何を変えたいのか

判断指標

可視化

判断は変化しているか

行動指標

実行

何を続け、何を止めるか

成果指標

検証

判断は正しかったか

LTV / 継続率


B2C・B2Bで異なるデータの使い方

データドリブンマーケティングでは、業種によって見るべき「判断の質」が異なります。

同じ指標を見ていても、B2CとB2Bでは、意思決定を左右している前提条件が違うためです。

B2Cにおけるデータドリブン判断

B2Cでは、意思決定の多くが感情や習慣、利便性といった要素に強く影響されます。

価格、使いやすさ、手間の少なさといった判断は、必ずしも言語化されませんが、行動には明確に表れます。


この判断は、再訪率、継続利用率、非プロモーション時の購買率といった指標で可視化できます。

B2Cにおけるデータドリブンとは、「売れたかどうか」を追うことではなく、日常の行動がどの程度定着しているかを見ることです。

B2Bにおけるデータドリブン判断

B2Bでは、判断の軸が感情よりも合理性に寄ります。

ROIの妥当性、導入後の効果、社内合意のしやすさといった要素が、意思決定に大きく影響します。


これらの判断は、商談期間、意思決定関与者数、導入後の利用定着率といった指標で捉えることができます。

B2Bにおけるデータドリブンとは、「案件数」を増やすことではなく、判断が前に進んでいるかどうかを追うことです。

両者に共通する判断構造

B2CとB2Bで判断の中身は異なりますが、構造は共通しています。

成果の手前には必ず行動があり、行動の手前には必ず判断があります。

データドリブンで見るべきなのは、成果そのものではなく、意思決定がどの段階で止まっているかです。

データドリブンを機能させる組織設計

データドリブンが機能しない最大の理由は、ツールやデータの不足ではありません。

組織としての評価と意思決定の仕組みが整っていない点にあります。

なぜデータがあっても組織が動かないのか

多くの組織では、部門ごとに異なるKPIで評価されています。

広告は獲得数やCPA、CRMは開封率や短期リピート、プロダクトは利用率やCVRを見る。


この状態では、誰も間違った判断をしていなくても、全体としての意思決定は噛み合いません。

判断が分断されたままでは、データは増えても成果にはつながりません。

判断を揃えるための評価指標設計

データドリブンを機能させるためには、全員が同じ数値を追う必要はありません。

重要なのは、どの判断に、どの部門が責任を持つかを明確にすることです。


広告担当は、獲得数だけでなく、獲得後の一定期間における行動の質を見る必要があります。

CRM担当は、配信成果ではなく、判断がどの程度継続しているかを見るべきです。

こうして初めて、データが意思決定と結びつきます。

データドリブンな文化をつくるために

データドリブンは、ツール導入で実現するものではありません。

判断の基準が言語化され、その基準が組織で共有されている状態を指します。

会議で問うべきなのは、「なぜこの数字なのか」ではなく、「この数字を見て、何を変えるのか」です。

さいごに

■自社診断の3つの問い

  1. そのダッシュボードの数値が悪化したとき、止めるべき施策は明確か
  2. 部門を跨いで「この数字が動いたら成功」と言える共通の指標はあるか
  3. 顧客が「安さ」以外で自社を選んだことを証明する変数は定義されているか


データドリブンマーケティングとは、データを多く見ることでも、高度な分析を行うことでもありません。

判断を揃え、意思決定が再現される状態をつくることです。


成果指標だけを追っても、判断は変わりません。

判断を変えるためには、行動を見て、その背景にある意思決定を捉える必要があります。


LTV戦略も、このようなデータドリブンな判断構造があって初めて機能します。

LTVという長期的な成果を、日々の判断指標に分解し、再現可能な意思決定として運用していくこと。

それこそが、データドリブンマーケティングの最終的な到達点です。

本記事が、「どの数字を見るか」ではなく、「どの判断を変えるべきか」を考えるための起点となれば幸いです。


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