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Marketing

ファネル設計の基本|リード獲得から育成・購入までの流れ

2026/01/01

ファネル設計の基本|リード獲得から育成・購入までの流れ
目次

「リードは取れているが売上につながらない」
「マーケティングと営業が噛み合っていない」

広告やSEO、営業活動など、さまざまな施策を実行しているにも関わらず、このような課題を抱える企業は少なくありません。


このような状況に直面したとき、多くの企業は個別施策や個人能力の問題に原因を求めがちです。

「広告の質が悪いのではないか」
「営業力が足りないのではないか」


しかし、実際に多いのは施策単体の良し悪しではなく、顧客が「どの行動段階にいるのか」が分からないまま、施策と数値だけを見てしまっているケースです。

この構造を担うのが「ファネル設計」です。


ファネルとは、単なる「認知 → 興味 → 購入」といった段階分けではありません。

顧客の行動状態を整理し、どの状態の顧客に対して、次に何をすべきかを定義するための設計図です。

ファネル設計は何のために必要なのか

ファネル設計の目的は施策を“分断させずに、一連の流れとして機能させることにあります。


ファネルが設計されていない組織では、次のような判断がなされます。

  • 広告のCPAが悪い → 広告施策そのものが悪いと判断する
  • 商談化率が低い → 営業のスキルや姿勢を問題視する
  • 成約率が伸びない → プロダクトや価格に原因を求める


一見すると妥当な判断に見えますが、実際には 判断の前提となる構造が欠けている ことがほとんどです。

  • まだ情報収集段階の顧客を営業に渡している
  • 比較・検討に必要な情報が十分に提供されていない
  • 購入判断を後押しする材料が用意されていない


このような状態では、どれだけ広告を改善しても、どれだけ営業が努力しても、成果が安定することはありません。

ファネルは顧客の行動を段階で捉えながら、以下を構造的に可視化するためのフレームです。

 「どの段階で顧客が止まっているのか」
「その状態の顧客に、次に何をすべきか」

施策を増やすためのものではなく、正しく改善ポイントを特定するために存在するという点が重要です。

ファネルとは何か(カスタマージャーニーとの違い)

ファネルの本質は「行動の変化」

ファネルとは、顧客の“行動状態”を段階で捉えるフレームです。


たとえば、同じ「リード」であっても、顧客のフェーズ毎に取るべきアクションはまったく異なります。

  • まだ自社の存在を知ったばかりの状態
  • 課題を認識し、情報を集め始めている状態
  • 他社と比較し、具体的に検討している状態

ファネル設計の目的は、「顧客を一律に扱わないこと」にあります。

重要なのは、今、その顧客は“何ができる状態なのか”を正しく捉えることです。

カスタマージャーニーとの役割分担

ファネルと混同されやすい概念に、カスタマージャーニーがあります。

両者の違いを整理すると、次のようになります。

カスタマージャーニー
 → 顧客の思考・感情・意思決定プロセスを扱う

ファネル
 → 顧客の行動状態と、次に取らせる行動を扱う

ジャーニーは「なぜ迷っているのか」「何が不安なのか」を理解するためのフレームです。

一方、ファネルは『今、どの行動が可能なのか』『次に、どの行動を促すべきか』を定義するためのフレームです。


この2つを分けずに考えると、このような状態に陥ります。

  • ジャーニーはきれいに描かれているが、施策に落ちない
  • ファネルは存在するが、顧客視点が抜け落ちる


ファネルは、ジャーニーで整理した顧客の思考や判断を、行動として実行可能な形に変換するための枠組みと捉えると理解しやすくなります。

ファネルを「段階分け」で終わらせてはいけない理由

多くの企業で見られるのが、ファネルが単なるラベルになっているケースです。

  • 認知
  • 興味
  • 比較
  • 購入

段階が並んでいるだけで、「なぜ次に進めないのか」「何が足りないのか」が定義されていません。

この条件が定義されていない限り、ファネルは“管理表”にしかなりません。


  • 数字は追っているが、改善の方向性が見えない
  • ボトルネックの特定が感覚論になる
  • 部門ごとに責任の押し付け合いが起きる

ファネル設計とは、各段階で「次に進める条件」を明確にすることです。

よくあるNGなファネル設計

成果につながらないファネルには、いくつかの共通点があります。

リード獲得がゴールになっている

資料請求や問い合わせ数だけを追い、その後の行動設計が存在しない状態です。

この場合、マーケは成果を出しているつもりでも、売上にはつながりません。

ファネルの途中が空洞化している

認知からいきなり営業につなぎ、比較・検討フェーズが設計されていないケースです。

顧客は判断材料が不足したまま、無理に次の行動を求められます。

温度感の違う顧客を同じ扱いにしている

すべてのリードに同じ情報、同じタイミングでアプローチしてしまう状態です。

結果として、このような問題が起こります。

  • 顧客は押し売りに感じて離脱する
  • 営業は確度の低い対応に追われる

営業に丸投げされている

マーケは「渡した」で役割を終え、営業は「まだ早いリード」を抱え続けます。

この分断は、ファネルが設計されていない組織で必ず起こります。

正しいファネル設計の考え方

ファネル設計は「購入・受注」から逆算する

ファネル設計で最も多い失敗は、上流(認知・集客)から考え始めてしまうことです。

正しくは、これらを定義します。

  • どの状態になれば購入・受注と判断するのか
  • 営業が「この顧客なら商談できる」と判断する条件は何か


この条件が曖昧なままでは、どれだけ集客を増やしても、ファネル全体は機能しません。

ファネルは「行動 × 温度感」で捉える

見込み顧客は、「いる / いない」で分けられる存在ではありません。

  • なんとなく気になっている
  • 情報収集中で比較している
  • 具体的に検討している

このように温度感が連続的に変化する存在です。


この温度感を無視して同じ対応をすると、こういった結果につながります。

  • 顧客は不信感を持つ
  • 営業は疲弊する
  • 組織全体の効率が下がる


正しいファネル設計では、今の行動状態に合った“次の一手”だけを用意するという考え方が重要になります。

ファネル設計の基本ステップ

ファネル設計は、フレームを知っていれば誰でも作れるものではありません。

重要なのは、自社の事業構造・営業体制・顧客の検討特性を前提に設計されているかです。


ここでは再現性の高い設計ステップを整理します。

ゴール(購入・受注条件)を定義する

最初に行うべきは、「どの状態になれば購入・受注と判断するのか」を明確にすることです。

ここで重要なのは、マーケ視点と営業視点をすり合わせた“共通のゴール定義”を作ることです。


  • BtoCの場合
     顧客が不安や迷いを感じず、その場で購入を決断できる状態
  • BtoBの場合
     顧客が社内で説明・合意を取り、商談・契約に進める状態

この定義が曖昧なままでは、認識のズレが必ず発生します。

  • マーケは「十分に温まっている」と考える
  • 営業は「まだ早い」と感じる


ファネル設計は、このズレを構造的に解消するための設計でもあります。

ファネルを段階に分解する

次に、顧客の行動を段階に分解します。

  • 認知
  • 興味・理解
  • 比較・検討
  • 意思決定
  • 購入・受注


ただし重要なのは、この分け方をそのまま使うことではありません。

自社の商材やサービスにおいて、 「意味のある分解」になっているかを確認する必要があります。

  • 検討期間はどれくらいか
  • 比較フェーズは存在するか
  • 営業が介在するタイミングはどこか


段階が粗すぎると改善点が見えず、細かすぎると運用できません。

各段階での役割を明確にする

ファネルを段階に分けた後は、各段階で「誰が・何を担うのか」を明確にします。

  • マーケティングの役割
  • 営業の役割
  • コンテンツ・施策の役割


このように、ファネルの進行に合わせて役割が切り替わる設計が必要です。

  • 興味・理解フェーズ
     → 課題整理・全体像を伝えるコンテンツ
  • 比較・検討フェーズ
     → 事例・導入プロセス・具体的な成果
  • 意思決定フェーズ
     → 営業による個別提案・条件整理


役割が曖昧なファネルは、必ず組織内の分断を生みます。

BtoBとBtoCにおけるファネル設計の違い

BtoCファネルの特徴

BtoCの特徴

  • 検討期間が短い
  • 感情的な判断が多い
  • 離脱が前提で設計する必要がある

BtoCで重要なポイント

  • 購入までの摩擦を極力減らす
  • 考えさせすぎない
  • 安心材料を早い段階で提示する


BtoCにおけるファネルのゴールは、「迷いを残さずに購入できる状態」を作ることです。

BtoBファネルの特徴

BtoBの特徴

  • 検討期間が長い
  • 複数の関係者が関与する
  • 情報不足が失注につながりやすい

BtoBで重要なポイント

  • 段階的な情報提供
  • ナーチャリングの設計
  • 営業プロセスとの明確な接続

BtoBファネルのゴールは、「合理的に説明でき、社内で合意を取れる状態」を作ることです。

実例で見るファネル設計

BtoC:D2C商材のファネル例

BtoCの典型的なファネルは、次のように整理できます。

  • 認知
     SNSや広告を通じて存在を知る
  • 興味・理解
     使用シーンや体験談に触れる
  • 比較・検討
     他商品との違いを理解する
  • 購入
     「これなら失敗しない」と納得して購入する


ここで重要なのは、比較フェーズから購入フェーズへの距離をいかに短くするかです。

迷う時間が長いほど、離脱の可能性は高まります。

BtoB:SaaSのファネル例

BtoBではより段階的な設計が求められます。

  • 認知
     課題提起コンテンツに触れる
  • 興味・理解
     ノウハウ記事・事例を読み、理解を深める
  • 比較・検討
     資料請求・導入プロセス・費用感を確認する
  • 商談
     具体的な提案・要件整理を行う


この場合のポイントは、営業が「説明しやすい状態」を作れているかどうかです。

ファネル設計とKPIの関係

ファネルが設計されていない状態では、KPIはどうしても部分最適になりがちです。

数値が「顧客の行動段階」と結びつかないまま、単発の成果指標として評価されてしまうためです。


ファネル設計を行うことで、構造的に判断できるようになります。

KPIを「良い・悪い」を判断するための数値ではなく、顧客の行動がどこで止まっているかを示すシグナルとして扱えるようになるためです。

  • どの段階の数字を見るべきか
  • どこがボトルネックなのか
  • 何を改善すべきか


このように段階ごとに見る指標が明確になり、今どの段階にボトルネックがあるのかを特定することが可能です。

  • 認知フェーズの数値が弱い場合
    → そもそも選択肢として認識されていない可能性が高い
  • 興味・理解フェーズの数値が伸びない場合
    → 内容が理解されていない、関心を持たれていない可能性がある
  • 比較・検討フェーズで止まっている場合
    → 判断材料や情報量が不足している可能性が高い
  • 意思決定フェーズの数値が伸びない場合
    → 納得条件や安心材料が揃っていない可能性がある


ファネルとKPIを結びつけることで、改善の方向性は感覚ではなく、「どの段階を改善すべきか」という構造で判断できるようになります。

さいごに

ファネル設計は、施策管理や数値管理のためのものではありません。

顧客の行動と、組織の動きを揃えるための設計です。

  • なぜ売れないのか
  • どこで止まっているのか
  • 今、何を改善すべきか

これらを感覚ではなく、構造で判断するためにファネルは存在します。


カスタマージャーニーとファネルをセットで設計することで、マーケティングと営業は初めて「一連の流れ」として機能し始めます。

カスタマージャーニーの記事も併せて読んでみてください。

カスタマージャーニーの考え方|BtoB・BtoCの違いと実例